2011年02月24日

エネルギー危機

先月のチュニジアに端を発した民主化を要求する反政府デモはその後エジプト、リビアなど中東じゅうに広がりを見せています。
これら産油国の政治的混乱はすでに国際的な原油価格の上昇を招いています。
Egypt.jpg
エジプトの反政府デモ(ロイター)

そしてその影響はここパラオにも出始めています。(厳密にはわかりませんが)
先日、PPUCというパラオの電力会社が3月1日からの電気料金の値上げを発表しました。理由は燃料価格の上昇によるとのことで、1キロワット時(kWh)あたり2.5セント上がって25.6セントになるとのことです。

そもそもパラオでは、現在でも電気料金が世界の先進各国と比べても同水準かやや上回っている状態です。

 ■各国の電気料金(2009年データ 家庭向け 1kWhあたり)
   日本    22.8セント
   イギリス  20.6セント
   フランス  15.9セント
   ドイツ   26.3セント(2007年)
   イタリア  28.4セント
   韓国     7.7セント
Source:OECD/IEA, ENERGY PRICES & TAXES 4Q/2010

コロール州のパラオ人家庭の平均所得は2009年6月現在で約12,078ドル(Household Income Survey 2009)ですから、これらの国々との所得の差を考えるとパラオ人が高額な電気代を払っているかがよくわかります。

ちなみにパラオの物価水準はというと、パラオの統計局(←うちの部門)によると2004年ぐらいから年率4〜5%のペースで上昇してきています(2008年は13%!)。
CPI.JPG
Source: Bureau of Budget and Planning
パラオの消費者物価指数

関連する統計データがこれ以上ないので(これはこれで問題)、これだけでは物価上昇の原因はわかりませんが、パラオはエネルギーや食料品などのほとんどを海外からの輸入に頼っています。今後輸入品価格の上昇によるインフレが起きれば家計はますます苦しくなる気がします。

 電気代値上げ
 ガソリン代値上げ
 食料価格上昇
 飲料容器税導入
 出国税(環境税)値上げ(検討中)
 消費税導入(検討中)

家計にとっては負担増の要因が相次ぐ状況ですが、でもパラオでデモや暴動が起きるほどのパワーは感じないです晴れ

人気ブログランキングへ
posted by yort at 16:27| Comment(6) | TrackBack(0) | パラオ政治経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは、
パラオの電気について、一言。
パラオの電気代を原子力、LPG、水力など多様な発電施設を有する国と比較するのでは、無く、パラオと同様にディーゼル油だけで発電する他の太平洋島嶼国と比較してみてください。パラオは、最も安い価格であることがわかります。その理由は、パラオの特異な課税制度(PPUCの放漫経営も関与)にあり、いずれの品物の輸入税率は、他の国に比べ極めて低く、政府系の事業に供する品物は、発電用燃料など、非課税です。GDPが3,000ドルに満たない国でも、発電用燃料は課税されており、米ドル換算で、30セントを超える国がほとんどです。
エネルギー価格が安いということに加え、住宅様式が米国本土のように風通しが悪い設計で建てられたコンクリート家屋が冷房用エネルギーを消費することから、パラオのエネルギー消費は、太平洋島嶼国で、飛びぬけて多い。
一人当たりの電力消費量で見てみると5,741kwh/year(p) とOECD加盟国のイタリアより多い。(2006年度)
またPPUCは、一般には、明らかにしていないが発電積算量と、販売電力積算量の相違、つまり発電損失、送電損失が、かなりあると、SOPACのエネルギーコンサルタントが指摘しており、
このロス分を軽減し、適切な価格設定にして電力経営にあたれば、他国に頼らず、自国で発電機の部品くらい買えるのです。
以上、

突然のコメント、どうぞ、お許しください。
Posted by JOCV OB at 2011年04月07日 13:40
>JOCV OBさん
ご指摘どうもありがとうございます。
発電のしかたが違う国どうしで比較していたんですね。おっしゃるとおり太平洋島嶼国の中で比較したほうがパラオの特異性がよくわかる気がします。(確かに冷房の使用量は半端ない気がします・・)
今回は家計における電気料金の占める割合について言及しようとしたんですが、これも電力使用料が分からないと基本料金だけでは何とも言えないですね。
Posted by yort at 2011年04月08日 09:10
コメントへのお返事ありがとうございます。
確かにHouse Hold Expenditureに占める電気代について言えば、その割合が多く、家計を苦しめていますね。特に、低所得層にとっては、電気代は深刻な問題です。ただ、エネルギーの正しい使い方をすることで、その負担は小さくなると、UNDPのSurvey programは、指摘しています。たとえば、熱利用系のエネルギーは、電気ではなく、ケロシンやLPGにするといったことです。パラオでもガスの供給は、行われていますが、他の島嶼国に比べ、少ないです。消費が少ない分、供給・流通の効率が悪く、販売価格が高くなります。他の島嶼国のようにガス供給・流通施設を整備すれば、エネルギー効率は、電気に比べ格段に高くなり、停電のように広域的なエネルギー供給支障ということもなくなり、社会の安定につながります。
パラオのすべての家で、料理用ヒーター、給湯ヒーターをガスにすれば、5MWの発電機一個が不要になるでしょう。

このたびの電気代の値上げは、電力消費量ごとに多少の格差をつけたかもしれませんが、大量消費、贅沢を尽くす高所得層に低所得層が犠牲になっている感があるのは否めません。

CO2削減努力目的の太陽光発電供与、そして5MWx2基の発電機資金援助要請を受けている日本大使館、JICA関係者には、パラオの実態を精査し(発電機供与が貧困層を苦しめることになるかもしれないことに気が付いて)、しっかりと判断して頂きたいと願うばかりです。

Posted by JOCV OB at 2011年04月08日 10:57
>JOCV OBさん
度々コメントありがとうございます。
パラオではキッチンのコンロも、シャワー(一般家庭はほぼ水シャワー)もだいたい電気ですね。うちはガス使ってますが「高いっ」てよく言ってます。
確かに素人目にもエネルギー源の多様化(電気、ガス、・・・)を進めるのはエネルギーの安定供給のためにも必要なような気がします。

パラオでは電力消費が大きいほど基本料金が高くなっているのは何故かと疑問に思ってましたが、いわゆる「大量消費の高所得層」から多く料金を取ろうとしているのでしょうか。
発電機供与が貧困層を苦しめることになるかもしれないという発想は個人的にはありませんでした・・。このブログはたまに大使館やJICAの人も見てくださるので(笑)、ひょっとしたら参考にして頂けるかもしれません。
Posted by yort at 2011年04月08日 13:55
市場経済において、いずれの商品も大量買いが安くなるというのが通念ですが、太平洋島嶼国では、時折、その逆で、たくさん買うほどその単価が高くなるという、まことに以って我々からすると不可解な商慣習に遭遇することがあります。おそらく、物不足に陥り易い小さな島国においては、大量消費・大量買いだめが、節義の無いことと捉えられていたのかもしれません。

エネルギー問題といえば、日本では、今、先般の巨大津波による原子力発電所の事故に起因する電力供給支障つまり停電(計画停電)が、取り立たされ、(放射能漏れの方がより深刻な問題ですが・・)オイルショック以来、再び、日本国中に節電を呼びかける声が広まっています。石油価格が安定し、一時的な対応で終わった、あの時のようになるのではなく、エネルギー利用について、一人一人が根本的に見直すべき時に来ている気がします。

社会が持続可能な発展を実現するために、欲望のコントロール、利他の精神、人類全体の自己抑制を中心概念とした新しい倫理の構築が求められています。 個人レベルにおいても、エネルギーと環境の問題に対する意識の変革、特に消費行動を変える必要があり、未だ非再生資源に依存せざるをえない現代社会にあっては、高レベルのエネルギー効率化を図り、できうる限り無駄を無くす行動をとることが、今後、強く求められるでしょう。

先進国の開発途上国に対する経済・環境対策支援について、言い対うとすれば、先進国は、資金・設備の供与、また一方的な技術指導だけでなく、開発途上国住民の意識改革にまで踏み込まない限り、持続可能な社会の構築、さらにMDGsをも亦達成させることはできないでしょう。 例えば、パラオにおいても各先進国が、環境エネルギー支援の定番商品?かのように押し並べてPV(太陽光発電設備)の建設を行っていますが、生産的活動を行わずとも自然の恵み(エネルギー)が得られるような装置の無償供与は、「堕落の民」を産む恐れがあることを、かつてリン鉱石の恵みを受けた島国が警鐘を鳴らしている現状から、先進国は、しっかりと学び判断する必要がある。またPVのようにまだ発電単価が高く、開発の途上にある技術を持ち込まなくとも、既存の確立した技術で、島の自然条件、慣習にマッチし、島民の生産的労働意欲を高揚する開発・支援、それと同時にまた供与側にも持続可能な利益をもたらす手段があることに、先進国には気が付いて欲しい。自国の目先の利益を優先させたが故に、結果的に途上国が利用された、なんてことにだけは、ならないように願いたい。

貴ブログを拝借して、持論を書き連ねてしまいましたこと、深くお詫びするとともに、心から厚くお礼申し上げます。有難うございました。




Posted by JOCV OB at 2011年04月11日 00:40
>JOCV OBさん
貴重なご意見を頂き大変勉強になりました。
どうもありがとうございました。
Posted by yort at 2011年04月11日 10:06
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。